いがくぶっく

医学生ブロガー。医学生の日常とダイエット法の体験記事を主に書いていきます。ライター・プロブロガーという肩書きにぼんやりと憧れを抱いております(笑)

【ネタバレ】映画「夜は短し歩けよ乙女」あらすじと感想~先斗町を飲み歩きたい

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森美登美彦原作のベストセラー「夜は短し歩けよ乙女」がついに映画化されました。

公開日である本日、劇場にて観賞してきましたのでその感想を。

「四畳半神話大系」以来病みつきになった森見登美彦ワールド…あの世界が再び映像として楽しめる日が来たことに心から感謝できる作品でした。

あらすじと予告動画

物語

クラブの後輩である"黒髪の乙女"に思いを寄せる"先輩"は 今日も「るべく女のにとまる」ようナカメ作戦を実行する。

春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭、そして冬が訪れて・・・。

京都の街で、個性豊かな仲間達が次々に巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、季節はどんどん過ぎてゆく。

外堀を埋めることしかできない"先輩"の思いはどこへ向かうのか!?

引用:映画『夜は短し歩けよ乙女』公式サイト

この説明で今作の全景を想像することは難しいと思います。

ただ、ラブストーリーを期待して見に行くと肩透かしにあうので注意してください。その恋路を邪魔(?)するユニークなキャラクターたちとの交流がストーリーのメインです。

予告動画

本作の独特な世界観は予告動画からでも十分にうかがえるはずです。

www.youtube.com

感想・批評

「四畳半神話大系」ファンは必見

2010年には森見登美彦原作の深夜アニメ「四畳半神話大系」が放送されて支持を得ました。

今回の映画化は、原作の作者はもちろんのこと、監督、脚本、キャラクターデザイン等のスタッフ陣までもが過去作「四畳半神話大系」と同じ顔ぶれで制作されているとあって、ファンはかなり期待していたのではないでしょうか。

独特な絵のタッチ、夜の京都の街並み、主題歌のASIAN KUNG-FU GENERATIONはもうお馴染み。

登場キャラクターも過去作とリンクしています

時系列としては「四畳半」の世界の少しあとでしょう。好き放題に暴れまわる学生を取り締まる「学園祭事務局」は、「四畳半」で登場した、大学を裏で牛耳る秘密組織「図書館警察」を前身とする組織です。

羽貫さん役は甲斐田裕子さんが続投、樋口師匠は藤原啓治さんから中井和哉さんへバトンタッチですが、飄々とした彼らの粋な仕草は相変わらず健在です。

もし「四畳半」未視聴の方で、今回の映画が気に入ったならば、ぜひ「四畳半神話大系」も併せてチェックしてみてください。これだけは言いたい!あとでも先でもいいので!

(本当は羽貫さんと樋口師匠の関係性が分かる「四畳半」を先に見てほしいが)

主人公の声は星野源さんが抜擢された

主役:先輩の声は、時代の寵児である星野源さんが担当。調べてみると声優としてのキャリアは多くないようでしたが、彼の草食系で変わり者なキャラクターは主人公の雰囲気とマッチしています。

発表記者会見では監督が直々に手紙を送り、星野さんにオファーをしたというエピソードが語られていました。

四畳半神話大系の「私」役での浅沼晋太郎さんの見事な地の文の台詞回しには本当に唸らされました。続投してくれたらと思っていましたが、星野源さんも作品の世界観にしっかり溶け込んでいました。

個人的な感想ですが、ラスト近くの"先輩"の脳内会議での長台詞のシーンだけは、彼の活舌の限界を感じてしまって残念な気がしました。

ヒロイン:「黒髪の乙女」は花澤香菜さん。可愛らしく溌剌とした乙女のセリフを見事に演じてらっしゃいます。これはさすがとしか言いようがない。

夜の先斗町の描き方が本当に見事

作品内での舞台は、「偽電気ブラン」を求めて飲み歩き→李白さんと飲み比べ→古本市→学園祭→お見舞いと進みます。

寺社仏閣などの観光地ではない、木屋町、河原町などにみられる夜の風情。

それをこの作品では主に前半部分で見事に映像化していて、個人的には一番の見どころだと思います。

黒髪の乙女や樋口師匠、羽貫さんらが飲むお酒の旨そうなこと。

現実の夜の木屋町は夜のお店の客引が多くいて、ここまで風情のあるスポットではないのですが(笑) とにもかくにも夜の街へ繰り出したくなる映像です。

作中で「ぽんとちょう」という名前が頻繁に出ていましたが、「先斗町」と書き、木屋町通と鴨川のあいだの路地のことをいうんですね。f:id:tanndorii:20170407162740j:plain

ロバート秋山演じる「パンツ総番長」が思いのほか大役

後半の学園祭パートでは無許可でゲリラ的にミュージカルを披露する演劇団が登場し、登場人物も劇中で歌声を披露するのだが、ここでの芸人・ロバートの秋山さんが演じる「パンツ総番長」の尺がとても長いのです。

声優のキャスティングにロバートの秋山さんがいることは観賞前から確認済みでしたが、思いのほか大役で驚きました。とても個性的なキャラクターを演じられているのですが、違和感はそれほど感じなかったです。

後半、少しだれませんでした?

唯一残念なところがありました。後半の、京都中に蔓延する風邪を引いた人たちの元へ"黒髪の乙女"がお見舞いに回るシーンです。

私には吹き荒れる風に、登り詰める塔。あの道のりがあそこまで険しく、長いものでなくてはいけなかったのだろうかと感じました。

脳内会議はともかくとして、少し退屈に思ってしまいました。

ラストは波乱万丈の末の「ご都合主義」なハッピーエンド。奇妙奇天烈なファンタジーに酔いしれたあとの〆はこれくらいの緩さが心地よく、不覚にもほっこりしてしまいましたね。

この辺りのあっさりした感じは「四畳半」にも共通するところですが、明石さんとは違って今作のヒロインは最後にデレてくれました。

劇場来場者特典「その1」 銀幕篇

話は少し逸れるのですが、劇場の入場券と引き換えに、映画館のスタッフの方がこちらの小冊子を渡してくれました。

いわく、「劇場来場者特典 その1 夜は短し歩けよ乙女 銀幕篇 森見登美彦」

“先輩"から"乙女"への手紙ということで、手紙形式で7ページ分の少し長すぎる映画デートのお誘いが書かれています。

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「その1」というからには「その2」があるようで、"黒髪の乙女"からの返事の手紙がその内容。

配布は公開2週目、4月15日(土)からであると公式ページで告知されていました。

まとめ~初めて原作を読んだ中学生時代を思い出す

私が小説「夜は短し歩けよ乙女」を最初に手に取ったのは中学生の頃でした。

当時の私は酒豪や下戸などの概念は持ち合わせておらず、飲み比べのエピソードや酒の旨さにリアリティを感じられませんでした。

当時の私の想像力では、偽電気ブランや詭弁論部、3階建ての電車や韋駄天コタツや劇団の規制などの独特な絵を、なかなか頭のなかで思い描けなかったように記憶します。

年月を経て、すでに「四畳半神話大系」という神アニメとも出会い、再度この奇妙な世界を映像として観賞することができたことがとても幸せです。

もう一度原作を読んでみる

小難しい長台詞から胸に刺さる人生訓まで、聞き逃した部分を再度補完する意味で、原作の小説を新しく購入しました。

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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)