これだけは言わせてほしい。
おそロシア・・・。
鬼畜な運命、疑心暗鬼に陥る心理戦と逆転につぐ逆転、極度の緊張、完全なるフィクションだとは素直に思えない恐ろしさ
3月30日公開の映画「レッド・スパロー」を鑑賞してきました。この映画は他の作品の上映前予告動画で、その映像のセクシーさに釣られる形で興味が湧きましたが、正直これほどまでに楽しませてくれるとは思いませんでした。
あらすじ
事故によってバレリーナの道を諦めたドミニカ(ジェニファー・ローレンス)。母親をめぐるやむを得ない事情から、彼女はロシア政府直属の諜報(ちょうほう)機関の一員になる。美貌を生かした誘惑や心理操作で情報を入手する「スパロー」と呼ばれるスパイとして育成された彼女は、瞬く間に才能を発揮する。そして新たなミッションとして、ロシアの機密事項を探るCIA捜査官ナッシュ(ジョエル・エドガートン)への接近を命じられるが……。
引き込まれるオープニング
初見の映画ではオープニングから短時間で、どれだけ観客の心を引き込んでくれるかが良作か否かの一つのシンプルな指標だと思っています。その点ではオープニングからタイトル【RED SPARROW】が大写しにされるまで、スパイと思しき男が電話を通じて謎の暗号を受け取り、別のカットでは荘厳な音楽とバレーのステージに圧倒され、とグイグイとその世界観に引き込まれました。ストーリー全体でみても140分の長さを一切感じさせず、絶えず緊張感が持続するような感覚でした。
そしてスパロー養成所である第四学校での、人としての尊厳を否定される徹底的な訓練では女性教官の言動・思想がいい味を出していましたね。
プーチンのそっくりさん
予告動画を見たとき真っ先に気になったのはこの人
ベルギーの俳優のマティアス・スーナールツ。2016年公開の映画「リリーのすべて」でも出演し、ネット上では、
「プーチンおるやん!」
と話題になったとかならなかったとか。静止画ではそれほど似ていると感じない方もおられるかと思いますが、動画での激似具合には納得いただけると思います。
彼は主人公を諜報機関の世界に引き入れる叔父さんの役でした。初見ではてっきりプーチン役が自らハニートラップを仕向ける、限りなくノンフィクションな内容なのかと思ってしまいました。まあ「遠からず」という感じではありましたが、この叔父さんをはじめとしてロシアの要人の風格がとてもカッコよかったですね。
衝撃のラスト
こんな陳腐な言葉でしか表せないが、終盤の怒涛の展開は是非とも実際に作品をみて体験してほしい。この作品は惨たらしいロシアの闇を美しい映像で描いた、これだけでも十分楽しめるスパイ映画なのですが、終盤の衝撃が唯一無二の良作へと仕上げたように思います。
一つ希望があるとすれば、終盤に”彼”が語る真相の内容についてはもう少し丁寧に伏線を張っておいてほしかったと思います。おそらくは鑑賞済みの方には共感いただけるかと。
おわりに
「ハニートラップってなんだかエロいよね」と軽い気持ちでチェックした映画がここまで凄まじい内容だとは思いませんでした。今年観た映画のなかでは一番よかったですね。
ジェニファー・ローレンスファンは必見、そうでない方でもスリルと衝撃を味わいたい人には是非ともおすすめしたい作品でした。